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2009年04月13日

鎌倉で無防備有志の会が活動

鎌倉で、無防備有志の会が、市議会選挙に立候補した各議員、各会派に
無防備運動の趣旨説明資料を送り、アンケートを実施した。
以下 趣旨説明の内容です。

<鎌倉 平和・無防備条例 説明 補足資料>   

 人も、文化財も、安心して暮らせるまちづくりのために

1. 平和無防備地域条例づくりをめざす目的

① 日本を「戦争する国」にしないために

海賊対策を理由に自衛隊がソマリア沖まで派遣され、しかも武器使用基準が緩和されるなど、武力を放棄した憲法9条に違反する動きがすすんでいます。一方、日本の戦争体制を支えるために作られた有事法制のもとで、自治体で「国民保護計画」が策定され、「テロ」「ミサイル攻撃」などの有事を想定した戦争の訓練に、住民が動員されようとしています。世界のあちこちで戦争が起きていますが、外交、防衛課題でも国任せにせず、市民の安全が脅かされないよう、私たち市民が関わっていくことが、ますます重要になっています。

② 憲法9条を活かし、市民の手で地域からつくる平和のまちづくり

  過去の第2次大戦では、住民は、女子、子供に至るまで戦争に駆り出されました。飛行場建設や陣地、物資の運搬などの苦投にかりたてられ、多くの住民が戦争の犠牲となりました。住民の命は、軍にとっては捨て石でした。敗戦後、新憲法が作られ、軍国主義から平和主義に生まれ変わる国を目指しました。
  では現在の日本は、国民は安心して暮らせるでしょうか。沖縄を始め、米軍基地が点在し、神奈川県にも、キャンプ座間に米軍司令部が出来るなど、日米の軍事基地の一体化がすすんでいます。イラクやアフガニスタンの出撃基地としても使われてきました。日本の自衛隊も、イラクに派遣され、米軍の輸送など、後方支援を行いました。
  一方鎌倉市では、これまで平和施策が行なわれてきましたが、現状のままで充分といえるでしょうか。現状では、有事法制が出来たことにより、鎌倉市でも、日ごろから住民と自衛隊が「協力」して戦争の訓練を行なうなど、住民に危機を煽り、戦争の後方体制を整えるような町にもなりかねません。こうした町にしないで、私たちの住む地域から、市民の手で安心して暮らせるまちづくりをめざします平和・無防備条例づくりを求めていきます。

2. どのような条例をめざすか

①「平和的生存権の保障」し、「平和なまちづくりの基本計画」を提案する条例を目指します。

憲法13条は、「個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重」を規定し、「生命と財産を守る」という住民の当然の権利は、住民に一番身近な政府、地方自治体によって保障されるべきです。しかし、このたびのイラク戦争のように、日本が憲法を無視して戦争に参加する動きを強めれば、私たちの平和的生存権は脅かされます。自衛隊のイラク派兵の違憲訴訟で、名古屋高裁(08年4月)は「平和的生存権は、単に憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではなく、憲法上の法的な権利として認められるべきである。」との判決を下しました。
自治体において、理念にとどめず、「鎌倉市民の平和のうちに生存する権利を保障する」を規定した条例をつくることを求めていきます。また、平和なまちづくりを具体的に推進するための、基本計画として、委員会の設置や公募などで市民が参加しやすい枠組みづくりなどを、条例で定めることを目指します。

③ 「非核」と「戦争に協力しない」条例づくりを目指します。
「戦争」及び「武力による威嚇」「武力の行使」は憲法9条で放棄されています。従って、自治体が「戦争に関する事務」を行わないことは当然のことですが、憲法9条を自治体で守りづつけるために、「鎌倉市は戦争に関する一切の事務を行わない。また、将来にわたって軍事施設の建設や徴兵及び戦争のための徴用など、戦争ならびに武力行使に協力するための事務、事業は一切行わない。」ことを明確にした規定を条例に定めることを目指します。また、鎌倉市は、すべての核保有国に対し核兵器の廃絶と軍縮を求め、非核三原則を遵守し、核兵器及びすべての兵器・軍事物資の製造・配備・貯蔵および、鎌倉市への持ち込み・飛来・通過を拒否することを定めます。


③文化財を保護する条例づくりを目指します。

1954年5月にオランダのハーグで、「武力紛争時の文化財の保護のための条約」議定書がつくられ、99年の第2議定書で文化財の保護規定が強化されました。この条約は前文で「締結国は文化財が武力紛争の間に重大な損害を被っていることを認識し」(中略)「文化財を保護するため可能なすべての措置を執ることを決意し、協定した」と明記しています。そして、同条約第3条で「文化財の保全」、第4条で「文化財の保護」を規定。これは文化財の「無防備地域」ともいうべきものです。一定の要件を満たす場合には、文化財を「特別な保護の下に置く」というものです。その要件とは、①「重要な軍事目標から妥当な距離に存在すること」②「軍事上の目的に使用されないこと」の2点です。「特別保護は文化財が特別保護文化財国際登録簿に登録されることによって、文化財に対しては敵対行為、軍事上の目的での使用が禁じられる」と規定してあります。
古都鎌倉は、「文化財集中地区」ともいえるまちであり、まさにハーグ条約第8条の「特別保護の付与」を受けるにふさわしいまちなのです。「古都鎌倉の文化財」を守るための要件を満たし、さらに、貴重な文化財の「強化保護」の国際登録を行なえるよう、文化財保護を推進するための条例を策定することを目指します。

④国際人道法(ジュネーブ条約)の「軍民分離」「無防備地域宣言」の積極的な活用を

    ジュネーブ条約第1追加議定書は、300万以上の住民が戦争の犠牲になったベトナム戦争後に生まれた国際人道法です。国際人道法は、多大な犠牲者の反省をふまえ、「軍・民分離」の原則など、民間人の犠牲者を出させないために、より厳しい内容が追加され、住民保護の積極的な意義を持つ条項が追加されてきました。
  このジュネーブ条約の第58条「攻撃の影響に対する予防措置」では、軍隊・軍事施設を民間人の居住地から分離するよう定めています。軍事施設は、攻撃の目標となり、近隣住民の犠牲を生み出させないためです。鎌倉市に、軍事施設や軍需工場をつくらせないために、この条約を根拠にした条例をつくることができます。
また、第59条は、戦争の危機に際して、適当な当局が「無防備地域」宣言をすることが出来ると定めています。その地域の「適当な当局」が、以下の4つの要件
1:戦闘員、移動兵器及び移動軍用設備の撤去、 2:固定軍用施設が使用されないこと
3:当局、住民による敵対行為の禁止      4:軍事行動支援活動の禁止
を守ることを条件に、この宣言をすれば、相手国が攻撃するのを禁止しています。日本政府も、この追加議定書の批准を行なったので、この法律を守る責任が課せられます。これを違反すると、国際法違反の戦争犯罪となります。
 憲法9条で武力を放棄した日本では、本来無防備地域宣言の条件をまもる必要がありますが、これに違反する現実があちこちに見られます。そこでこの「無防備地域宣言」の条件は、危機が迫ってからでは困難なので、平時から4つの要件を守るよう条例をさだめ、推進することをめざします。ジュネーブ条約の「無防備地域宣言」は、有事に際しての民間人保護のための条項ですが、鎌倉市での条例では、「無防備地域宣言」の4要件を活用して、平時から4要件を守らせることで軍隊のない街づくりを目指すことに主目的があります。

3.全国に広がる平和・無防備条例運動
 
全国の多くの自治体でこの条例制定運動が取り組まれています。神奈川県では、05年に藤沢市、08年に小田原市、川崎市の市民が、条例制定の直接請求署名を行ないました。どの地域でも、直接請求署名が規定数を大きく上回る市民の支持を集め、臨時議会で協議されましたが、残念ながら、否決されています。しかし、これを契機に、平和事業の一層の推進など、自治体の平和施策にいろんな影響を与えると共に、市民の議会への関心が高まる機会となっています。

投稿者 藤沢の会 : 01:13